距離延長がズバリ！ジーククローネV！《会報2023-29号・特別号》

残り少ないチャンスをものにして勝ち上がり！

2歳11月のデビュー以降、7戦中6回のレースで掲示板圏内となり、堅実な走りを見せるものの、ワンパンチが足りず勝利には手が届かなかったジーククローネ(牡3・美浦・宮田敬介厩舎)。ここまでは2000m以下のレースを走ってきましたが、今回は決め手不足を補うため距離延長を決断し2600m戦に出走する運びとなりました。舞台となる札幌競馬場は洋芝コースで元々時計がかかりやすいうえ、当日は重馬場のコンディション。タフなレースが予想される中、同馬は前走から-8kgの454kgでのゲートインとなりました。

ややバラついたスタートとなる中、上々のダッシュを見せた同馬は4、5番手につけてレース序盤を進みます。長距離戦ということもあってか積極的に飛ばす馬がおらず、前半1000mの通過タイムが65.4秒と馬場を考慮してもスローペースとなりました。精神的に危ういところのある同馬は我慢しきれずに引っかかってしまうことが懸念されましたが、鞍上の佐々木大輔騎手がしっかりと抑え、折り合って道中を進みます。隊列は淡々と進んでいましたが、残り1000mを通過したあたりでレースに動きが出ました。後ろから2頭目に待機していた1頭が勢い良くまくり上がって先頭集団に取り付き、これに反応した各馬が一気にペースアップ。前がかりとなった集団が横に広がりながら最終コーナーをカーブする一方で、ジーククローネはマイペースを貫きインコースで脚を溜めつつ最後の直線を迎えます。先にスパートしたライバル達がアウトコースで伸びあぐねる中、前を行く2頭が逃げ込みを図りますが、追い出しを開始したジーククローネがこれを射程圏内に捉えると叩き合いに持ち込みます。札幌競馬場の短い直線で前がなかなか止まらず、手に汗握る攻防となりましたがゴール直前でクビ差追い比べを制したジーククローネ。ついに勝ち上がりを決め、歓喜の瞬間を迎えることとなりました。

レース後、騎乗した佐々木騎手は「よく頑張ってくれました。道中は抑えるのがかなりきつかったですが、最後まで我慢して馬場もこなしてくれました。早めに抜け出すと遊んでしまいそうな感じだったので、直線で前の馬を目標にできたのも良かったと思います。2000mくらいの方が競馬はしやすいと思いますが、2600mもこなしてくれて良かったです」と振り返っていました。また、宮田敬介調教師は「最後は差し返されるかと思って冷や冷やしましたが、勝ってくれてホッとしました。勝負所で外からまくられる厳しい展開になったのですが、競り合う形でも最後はやめそうな雰囲気があったので、ジョッキーが早めに抜け出さずによく我慢してくれたと思います。今回はダートも考えていましたが、今日の馬場だと時計の速い決着になっていたと思うので、条件もぴったりとはまりました。クラブの進言に感謝します。この時期に1勝できたのは非常に大きいです。遅くなってしまいましたが、本当におめでとうございます」と話していました。

善戦を繰り返してきた同馬ですが、プレッシャーのかかる8月、札幌開催の未勝利戦で最高の結果を手にすることができました。この後はノーザンファーム早来に放牧し、休息をとりながら成長を待つこととなります。同馬の本格化はきっとこれからのはず。「夏休み」を終えた同馬の一回りの成長と、更なる飛躍が楽しみです。

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