激戦を制したエンジェルマークがデビュー勝ち！《会報2024-32号・特別号》

上がり3ハロン32秒9！抜群の切れ味で勝利を掴む！

母にアメリカのGIを5勝した名牝ステファニーズキトゥン、父に国内GIを2勝し、現在は種牡馬リーディング上位にランクインするエピファネイアを持つ良血馬エンジェルマーク(牝2・美浦・宮田敬介厩舎)は、牧場時代から切れのある動きと大物感を見せてきましたが、同時に体質的な弱さも見せていました。調整の過程で何度もスクミが出てしまい、8月に入ってもスクミと治療を繰り返す中で馬体重が減ってしまいましたが、その後、飼葉食いが良くなり体調が上向くと、古馬2頭と併せた追い切りで良い動きを見せます。前進気勢が出てきたこともあり、今回のデビュー戦に向かうこととなりました。当日の馬体重は438kg、出走馬6頭中、3番人気でのゲートインとなりました。

全体的にバラついたスタートとなりましたが、エンジェルマークは無難にゲートを出て3番手につけます。序盤は単勝1.5倍と圧倒的な支持を集めた1番人気馬が単騎で逃げて主導権を握りますが、馬場を考慮してか同馬は内ラチから4～5頭分を空けた外目を走り、エンジェルマークもこれをぴったりとマークするように同様のコース取りで進んでいきます。レースは1000mの通過タイムが1分6秒8とかなりのスローペースで進行し、中盤から勝負所に差し掛かっても積極的に動く馬が出てこないまま、各馬がほぼ序盤の位置取りのまま最後の直線を迎えます。悠然と先頭を走る1番人気馬ですが、すぐにはラストスパートをかけずにタイミングを計る様子を見せると、直後を走るエンジェルマークもギリギリまで追い出しを我慢します。残り400mあたりで2頭共ムチが入ると一気に加速、後続をグングン離して2頭だけの叩き合いとなりました。その後、瞬発力で勝るエンジェルマークが外から交わして先頭に立ち、勝負ありと思われましたが、直後に内から差し返され、大接戦となります。手に汗握るゴール前となりましたが、クビ差凌いだエンジェルマークが1着でゴール、デビュー勝ちを収めました。

レース後、騎乗した川田将雅騎手は「返し馬はバランス良く行うことができました。レースでは右に張るところがありましたが、若さによるもので体が出来上がってくれば問題ないと思います。性格は穏やかで人に対して従順でした。既に出来上がっているわけではなく、成長の余地を残してこれだけの競馬ができたので今後が楽しみです。いいものを持っている馬だと思います」と振り返っていました。また、宮田調教師は「まだ体質が弱い現状で、いい勝ち方をしてくれたので本当に良かったです。上がり32秒台でしたが、3ハロン(約600m)地点では追い出していなかったので、かなりの脚を使ってくれました。レース後の息の入りも良かったので、今後が楽しみです」と話していました。

レースに向かうまでの間、体調面で紆余曲折があっただけに上がり3ハロン32秒9の末脚を披露しての勝利には喜びもひとしおとなりました。レース後は少し間隔を空け、状態に合わせたレース選択をすることになりそうですが、未完成ながらこれだけのパフォーマンスを見せた同馬に対する陣営の期待はより大きなものになったと思います。無事の成長が第一に望まれますが、同時に大舞台での活躍を夢見てしまいます。今後もエンジェルマークに温かいご声援をお願いいたします。

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